相棒の世界
「とにかく…ニカを連れてくる」
なにより本当の父に会わせてやることは、本当に重要なことだ。
俺はソファから立ち上がった。
少々不機嫌になることは覚悟でも、起こしてやらないとーーー。
「…俺も行きますよ」
「っ…!」
俺がその場から動こうとした時、ガイドンがふと俺の腕を掴んだ。
「慣れないステッキだけじゃ、まだ歩きづらいと思うので」
「………」
ガイドンに引かれ、俺はニカとミラが眠る奥の部屋に向かった。
部屋の扉を開けた途端ーーー
「スー…、スー…」
聞こえてきたのは静かな寝息。
俺はニカのベッドの目の前に来ると、その場に屈んで手を差し伸ばした。
ーーーと、その時。
「うさ…ぎ…」
「っ!!」
いきなりニカが俺の名前を呼んだのだった。
ーーー寝言だった。
「うさぎ…行かないで…くれ…」
「っ…」
「ずっと…そばにいてくれ…」
「………」
俺がニカの頬にそっと手を添えるとーーー
「スー…スー…」
ニカはまたぐっすりと眠りについたのだった。