相棒の世界
ーーーその後俺たちは、ハカゼの家に1週間ほど滞在した。
ニカとミラはすっかり元気になり、特にニカなんかはハカゼの手料理をこれでもかというくらいに頬張っていた。
「兎」
「…なんだ」
「お前、ここで寝ろ」
「は?」
ニカはいつも俺を自分のベッド脇の椅子で寝かせた。
寝心地は最悪であったがーーー
「スー…スー…」
「……ふっ」
ニカの穏やかな寝息を聞いているのは、悪くはなかった。
寝言でニカはいつも俺の名を呼んだ。
そして俺が頭を撫でてやると、安心したかのようにまた寝息を立てる。
とんだ生意気なガキではあるがーーー
「…ニカ」
俺はニカに説明のしようがない温かい感情を持つようになっていた。
「ーーー兎さん、あの…」
「なんだ、ミラ「兎!こっちこい!」」
「…は?」
「いいから!!」
ニカは、ミラと俺が話しているところを見ると、毎回毎回間に入ってきた。
「お前、一体なんなんだ…」
「黙れ、兎」
「…っ?」
どうしてニカが、俺とミラを近づかせないのか分からなかったが…
「お前、嫉妬してるのか?」
「っ…違う!」
焦った様子のニカを見ていることは、面白おかしくて仕方がなかった。