相棒の世界
「きゃあああああ!!」
「っ!」
ふと、すぐ近くから女性の叫び声が聞こえてきた。
「いいからその子供をよこせ!」
「いやよ!待って!!
その子を連れて行かないで!!」
「ママぁぁ!!」
聞こえてくる声から、子供が母親から引き離されそうになっているのが分かった。
「ママぁぁ!ママぁぁぁ!!!」
「待ってぇぇ!!」
『ーーーアルバート!』
「っ!」
突然、母親の声が女性の声と重なった。
そしてーーー
『母さぁぁぁん!!』
引き離される子供が俺と重なった。
「…あ、ジョンさん!?」
「兎!」
気づけば俺は、ニカの手を振り払って走り出していた。
左手に持っていたステッキを投げ捨て、無我夢中になって声の方へと駆けて行くーーー。
ーーー待ってろ。
今、助けてやるからな…