相棒の世界





「いやぁ、これまた派手にやったねぇー!」




ハカゼは腹を抱えて笑った後、俺の頭をまたクシャクシャと撫でた。




「いいさ、シルブ。
たーくさん物干し竿を倒せばいいさぁ。
たくさんたくさん倒して、いつか出来るようになればそれでいいんだ」



「っ!!」




初めて受けた言葉だった。



失敗したらいつも罵声を浴びせられていた俺は、この時とんでもない衝撃を受けたのだ。





「ほれ、もう一度やってみなさいな」




ハカゼは倒れた物干し竿を一つ一つ拾っては、ゆっくりと元の場所に戻していった。




「頼んだよ」




籠を俺に渡すと、ハカゼはにっこりと笑って家の中へと入っていった。









「あ……」




洗濯カゴを抱えたまま、俺は唖然としてハカゼの後ろ姿を見つめていた。




そしてしばらく経つとーーー




「よし…」




もう一度洗濯物を干し始めた。






< 271 / 506 >

この作品をシェア

pagetop