相棒の世界
「いやぁ、これまた派手にやったねぇー!」
ハカゼは腹を抱えて笑った後、俺の頭をまたクシャクシャと撫でた。
「いいさ、シルブ。
たーくさん物干し竿を倒せばいいさぁ。
たくさんたくさん倒して、いつか出来るようになればそれでいいんだ」
「っ!!」
初めて受けた言葉だった。
失敗したらいつも罵声を浴びせられていた俺は、この時とんでもない衝撃を受けたのだ。
「ほれ、もう一度やってみなさいな」
ハカゼは倒れた物干し竿を一つ一つ拾っては、ゆっくりと元の場所に戻していった。
「頼んだよ」
籠を俺に渡すと、ハカゼはにっこりと笑って家の中へと入っていった。
「あ……」
洗濯カゴを抱えたまま、俺は唖然としてハカゼの後ろ姿を見つめていた。
そしてしばらく経つとーーー
「よし…」
もう一度洗濯物を干し始めた。