相棒の世界





「…鼠?」



「あっ…」




ハカゼの家に着くと、そこには久々に鷹目兄さんがいた。



口にはガーリックトーストを加えている。




「どうしたんだよその格好」



「っ……」




俺は下を向いた。




泣いている自分が情けなかったからだ。






鷹目兄さんは俺に近づいてくると、顔を覗き込んできた。




「なに泣いてるんだよ、鼠」



「っ!」





鷹目兄さんの言葉をだったからだろうか…




抑えていた涙が急に溢れ出てきた。





「うっうう…俺は…グスッ…弱いっ…」





下を向いたまま俺は涙を流していた。




鷹目兄さんの前だったら、涙を流してもいい気がしたのだ。






「…まったく」





鷹目兄さんは呆れた顔をするとーーー




俺の頭を優しく撫でた。








「お前はーーー弱くなんてない」




「グスッ…え?」





鷹目兄さんは顔を近づけてくると、にっこりと笑った。





「お前が弱いと思ってるだけだ」



「っ!」




俺は涙でグシャグシャになった顔を鷹目兄さんに向けた。




「ふっ、ひでえ面だなまったく!」




ゴシゴシゴシッ!



「っ!!」




自分のシャツ袖で俺の顔を拭くと、鷹目兄さんは食べかけのガーリックトーストを渡してきた。




「ーーーこれ食ったら教えてやる。
お前の強さをーーー教えてやる」







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