相棒の世界





泣きながらガーリックトーストを食べた後、鷹目兄さんは俺に色々教えてくれた。





「この世の中には様々な強さがある。
それは決して武力だけではないんだ。

ーーーいいか、鼠。
お前には武器が二つあるぞ。
一つ目はすばしっこさ、そして二つ目は忍耐力だ。
お前の武器はまさにそれだよ。
いいか、それを磨き続けるんだ。
そしたらお前はきっとーーー世界中が目を丸くするような強い人間になれるぞ…」




「本当に…?」




「ああ、本当だ」





鷹目兄さんに教えてもらってから、俺はひたすらその二つを磨き続けた。




何年も何年も瞬発力を磨き、



何年も何年も忍耐力を磨いた。







ーーーそして、18歳になったと同時に俺はハカゼの家を出た。



既に政府公認の殺し屋として活動していた鷹目兄さんを追いかけて、俺はスパイになった。





素早く変装し、素早く相手の位置を察知し、そして素早く準備を終わらせる。



任務についたら何年もの間、見張りを続ける。





俺にはそんなことが朝飯前だった。




そして俺はいつのまにかーーー



天才スパイと言われるようになっていたのだ。







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