相棒の世界
「ーーー久々だね、鼠…」
「…鷹目兄さんっ!」
鷹目兄さんが死ぬ一週間前、俺は1年ぶりに鷹目兄さんに会った。
「ちょっと頼みがあるんだよ」
「っ…なに?」
鷹目兄さんはシルクハットを被り直し、顔をほころばせながら静かに言った。
「ーーー近々、俺は死ぬかもしれない」
「っ…え!?どういうことだよ!!」
俺の問いに答えないまま、鷹目兄さんは続けた。
「いいか、鼠。
俺が死んだら兎を助けてやるんだ」
「…ええ?」
「いいからよく聞け!
お前、今任務についているのか?」
「いや…今はついていないけど…」
「なら絶対に頼む!
お前、兎を助けるんだ!いいな!」
「……っ」
鷹目兄さんはそれだけを言うとーーー
ギュッ…
俺を強く抱きしめてきた。
「っ…な!」
「お前は最高の弟だった」
「…何言ってるんだ!」
「ははっ、何言ってるんだろうな…」
鷹目兄さんはそう言うとーーー
「頼んだぞ、鼠…
ーーー元気でな」
そう言って去って行ったのだった。