相棒の世界
「………っ…」
俺は唇を噛み締めた。
「兎だとーーー言ってくれないか…?」
ニカの声は震えていた。
表面はあんな感じでも、ものすごく怯えているに違いない。
まだーーー6歳の少女だ。
「ーーーああ、俺は元『兎』という名で殺し屋をやっていた。
今は靴屋のジョンだがな」
「ーーーっ!!」
ーーダダダッ!
ニカは俺のシャツを両手で掴んできた。
「お前、私を守れ」
「ーーーは?」
「助けてほしいんだ…!」
ニカは震える声を大にして言った。
「………」
本音を言えば、助けてやりたい。
でも、俺はーーー
「無理だ」
「え……」
「俺は鷹目がいない限り、戦わない」
ーーーいや、戦えない。
だから殺し屋もーーー
やめたんじゃないかーーー