相棒の世界
「ーーーニカを助けたいんだ!」
「っ!!」
俺がそう叫ぶと、女性は暴れるのをやめた。
「ニカに、ニカに何かあったのか…!?」
「っ…」
俺は胸が痛くなった。
これはーーー母親の目だ。
「…さらわれた。黒犬に」
「え…?」
女性はまるで体の力が抜けたかのように、その場に座り込んでしまった。
「うそ……」
「すまない」
その場にしゃがむと俺は女性に強く言った。
「だが絶対に助ける。絶対にだ」
「っ!」
「だから頼む」
ーーー力を貸してくれ…
「っ…あんた、黒犬の手下じゃないだろうな」
「そんなわけがあるか」
「本当だな!」
「ああ、神に誓う」
女性はしばらく黙り込むと、ゆっくりと立ち上がった。
「ーーーだったら信じる」