相棒の世界





「ーーーニカを助けたいんだ!」



「っ!!」




俺がそう叫ぶと、女性は暴れるのをやめた。








「ニカに、ニカに何かあったのか…!?」



「っ…」




俺は胸が痛くなった。




これはーーー母親の目だ。






「…さらわれた。黒犬に」



「え…?」



女性はまるで体の力が抜けたかのように、その場に座り込んでしまった。





「うそ……」



「すまない」




その場にしゃがむと俺は女性に強く言った。




「だが絶対に助ける。絶対にだ」



「っ!」



「だから頼む」







ーーー力を貸してくれ…










「っ…あんた、黒犬の手下じゃないだろうな」



「そんなわけがあるか」



「本当だな!」



「ああ、神に誓う」




女性はしばらく黙り込むと、ゆっくりと立ち上がった。







「ーーーだったら信じる」






< 302 / 506 >

この作品をシェア

pagetop