相棒の世界
「…ううん、そんなことない」
気づけば私はそう言って首を横に振っていた。
それを見たおじさんは驚いたように目を丸くするとーーー
「…ふふっ」
目尻にシワを作って、優しく微笑んでみせた。
「そうか、よかったよかった…」
ーーーじゃあ、帰ろうか。
シーナ…
彼の口から出る「帰ろう」の一言が大好きだった。
私にも居場所がある、そう思えた。
彼の温かい手と、その一言でーーー
私はだんだん人に心を開けるようになっていったのだ。
この幸せがいつまでも続けばいいと思っていた。
だけどーーーそうはいかなった。
突然、嵐のような彼が
私の前に現れたのだ。