相棒の世界




それは私が9歳の時だった。



パリーーーン!!



ある日突然、おじさんの家のガラス窓が勢いよく割られた。




なにがあったんだ!?



奥の部屋にいた私は急いで表に出る。




するとそこにはーーー



長くて太い木製の棒を肩に担いだ、一人の少年が立っていた。



薄汚れたボロボロの服に、砂まみれの顔。



しかし金髪の頭の上に乗った大きなシルクハットだけは、艶が出ているほどの新品ものだった。




「ーーー何すんだ!」



私は大声で叫んでいた。



大事なおじさんの家をよくも…!!




「はぁ?」



少年は気だるそうな顔で首を傾けると、棒の先を私に向けてきた。




「黙れ、ぶっ殺すぞ」



「っ!」



恐怖の欠片も見られない少年の瞳は、濁った緑色をしていた。



そんな目で睨みつけてくるものだから、私は思わず後ずさりをした。






「鷹目行くぞ!保安官が来た!」



ふと遠くからまた違う声が聞こえてきた。



「っ…」



少年はバツの悪そうな顔をすると、棒を振り下ろしてもう一度私を睨みつけると去っていった。




太陽の光に反射しシルクハットがピカッと輝く。



私はその後ろ姿が見えなくなるまで、ずっとその場に立ち尽くしていた。





< 310 / 506 >

この作品をシェア

pagetop