相棒の世界
「中に入ろう、シーナ」
すれ違い際、おじさんがそう言ったため、私は大人しくついていった。
複雑な気持ちのまま、大きな彼の背中を見つめる。
「おじさん…そいつ」
「ああ、分かってるよシーナ」
「っ?」
おじさんは振り返ると、いつもの優しい顔で言った。
「修理代はこいつが大人になってから無理にでもいただくよ」
「っ!」
おじさんはこの少年が犯人だということを知っていた。
知っている上でーーー助けたのだ。
「2階の俺のベッドに寝かせてくるから、シーナはここで待っててくれ」
「う、うん…」
階段を上っていく後ろ姿を、私はずっと見つめていた。
いつも見ているおじさんの背中。
なぜかこの時はーーー
一段と大きく逞しく見えた。