相棒の世界
2階に上がると、真っ暗闇の中、俺はベッド下に隠しておいた2つの剣を探した。
殺し屋時代、俺に欠かせなかった剣だ。
「ーーあった!」
俺は鞘に入った2つの剣を取り出すと、自分の両腰にしっかり備えた。
「兎!はやくしろ!!
もうすぐ壊れるぞこの家!!」
「分かってる!」
窓を開けて待っているニカに近づくと、俺は言った。
「いいかニカ、お前の父がやっていたことだ。お前にもやってもらう。
俺の周りの全ての状況をその場その場ですぐに口に出せ!
俺はそれを考慮して行動に移る!
お前は情報を口に出すだけでいい!
それ以外は俺に任せろ!!」
「分かった…!」
ニカは目を瞑った。
そして、自分の鷹の目で今の状況を即座に判断するーーー
「この窓から隣の家の屋根までの距離は3メートル34センチ!屋根は木質!住民は既に逃げている!あとーーー
……っ!!階段を上ってくる敵が5人!!」
「ちっ…お前それを先に言え!!」
俺はニカを抱き上げると肩に抱えた。
「ーーなっ!兎!」
「お前は周囲の状況だけ言えと言ったろ!」
俺は窓枠に足をかけた。
「あとはーーー俺に任せろ」
ーーー隣の屋根まで3メートル34センチ。
……あまりにも距離が無さ過ぎる。
「ニカ!」
「っ!?」
「ここからまっすぐ100メートル先に屋根はあるか!?」
「ーーーああ、あるが…」
ーーー決まりだ。
「ビビるんじゃないぞ、ニカ」
「っ!?!?」
俺は窓枠を思いっきり蹴ってーーー
ーーー跳んだ。
きっかり100メートル先の、
屋根に向かってーーー