相棒の世界
ーーーー兎。
かつて俺はそういう名で呼ばれていた。
それはーーー
「兎ちゃーん、ここから300メートル先に敵が見えるんだけど……ひとっ跳びできる?」
「ああ、結構ギリギリだか」
人間とは思えないほどのーーー
脚力とバネを持っていたからだ。
「さっすが兎ちゃーん!
俺のあいぼーうっ!」
「黙れ鷹目。跳ぶならさっさと跳ぶぞ」
俺はいつも鷹目を抱えては遠くに跳んだ。
俺のすぐ隣で、鷹目はいつも俺に指示を出した。
「ーーーあ、兎ちゃん。
やっぱり300メートル先は湖だわ」
「は!?跳んでから言うな!!」
「なーんて冗談!!びっくりした!?」
「……っ…」
まあ、まともな指示では決してなかったが。
「着地する場所には敵が10人。
全員短剣を持っている。
そしてそこからまた100メートル離れたところに矢を持ったやつがいるから注意しろな?
ーーーあ、パンツの色は「パンツはいい」」
鷹目はいつも俺の隣にいた。
すぐーーー隣にいたんだ。