相棒の世界




「死んでも守るつもりだよ、兎のことは。『奴』は姿を消せるから俺は完全に見張っていることがどうしてもできない。もう体を張って守るしかないんだ」



私に近づいてくる。



一筋の涙が伝った頬を、ゆっくりと撫でられる。




「辛い思いをさせるね。本当に悪い…」






意味が分からなかった。




どうして鷹目が体を張ってまで兎を守り抜こうとしているのか分からなかった。




もうすぐ私と鷹目の子供は生まれる。




そんな時にーーー




なんでーーー?







「……行くな、鷹目」



鷹目の腕を強く握った。



声が震えている。



もう、絶対に離したくない。




「行かないでくれ…鷹目っ!!ずっとそばにいてくれ!この子のそばに…グスッ…父親として…グスッ……ずっとずっといてくれぇ!!…手を…繋いでてくれ…!!!」






『帰ろう、シーナ』




おじさんはそう言っていつも手を繋いでくれた。



あの温かい手がーーー



この子には必要なのに……





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