相棒の世界




「うっ…ううぅ……」



子供を掲げたまま、鷹目は大粒の涙を流し始めた。



泣いている姿を見たのは、私がおじさんに怒られた時以来、はじめてのことだった。




「見せてやりたい…グスッ…兎にも…グスッ…みんなにも…グスッ…見せてやりたい…っ」










見せて…やりてぇなぁ…。







鷹目は子供を胸にギュッと抱きしめると、そのまま泣き続けた。



赤ん坊にも負けないくらい声を上げて、ずっと泣き続けていた。



私も涙が止まらなかった。



鷹目が子を抱えて私のもとに来ると、三人で泣いて、笑い続けた。








「…ニカ」





鷹目は子供にそう名付けた。




俺の一番の宝物だ、そう言っていた。



























これはーーー




































鷹目が死ぬ前日のことだった。





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