相棒の世界
それはーーー鷹目の遺書だった。
『愛するシーナへ
こんな俺を許してほしい。すまない、シーナ。一つだけ頼みごとがあるから聞いてほしい。俺の最後の頼みごとだ。ニカを孤児院に預けてほしい。手放し難いとは思うが、苦しいとは思うがそうしてくれ。大丈夫だ、全てが終わればまた一緒に暮らせる。
シーナ。ニカを孤児院に預けてお前は北へ戻れ。そして名前を明かさず隠れて暮らすんだ、いいな。ニカとお前を守るためだ。許してほしい。
俺は兎に全てを託した。あいつは絶対にやり遂げるはずだ。何年経っても待っていてほしい。彼がみんなを救うのを。
愛してる。 鷹目』
読み終えた瞬間、言葉を失った。
そして両手に抱いている愛しいニカの姿を見つめた。
さっきのことがまるで嘘だったかのように、ニカは目を瞑って大人しくしている。
「…ニカ」
私は立ち上がると、ニカを優しく布で包み、支度を済ませるとすぐに部屋を出た。
孤児院の前に着くと、近くに捨てられていた箱の中にニカを置き、鷹目の遺書に同封されていた紙を布の中に入れた。
ぐっすり眠っている愛しい我が子の顔を目に焼き付ける。
「ニカ…また会おう…」
その時が来るまでーーー
耐えよう。
絶対にまた、
一緒に暮らそう。
ニカ…
愛してる。