相棒の世界

03. 鷹と兎








ーーー100メートル先の屋根に跳び移った後、俺とニカはとにかく遠くへ走って逃げた。




ニカは鷹目よりも遥かに軽く、跳びやすい上に体力があまり減らなかった。








ーーー街外れの森の中へ入ると、俺はようやくニカを肩から下ろした。







「ーーー聞いてないぞ、兎」


「何がだ」


「あんなことができるということだ」




俺はその場にストンと座った。




「そんなことはメッセージとやらに書いていなかったのか?」



「書いてあるわけがない!
全て読んだではないか!

…あんなことができるのに、なぜお前は私を守ることを拒否した。
ーーーそんなに私のことが嫌いか」





震える声でニカは言った。









< 36 / 506 >

この作品をシェア

pagetop