相棒の世界
03. 鷹と兎
ーーー100メートル先の屋根に跳び移った後、俺とニカはとにかく遠くへ走って逃げた。
ニカは鷹目よりも遥かに軽く、跳びやすい上に体力があまり減らなかった。
ーーー街外れの森の中へ入ると、俺はようやくニカを肩から下ろした。
「ーーー聞いてないぞ、兎」
「何がだ」
「あんなことができるということだ」
俺はその場にストンと座った。
「そんなことはメッセージとやらに書いていなかったのか?」
「書いてあるわけがない!
全て読んだではないか!
…あんなことができるのに、なぜお前は私を守ることを拒否した。
ーーーそんなに私のことが嫌いか」
震える声でニカは言った。