相棒の世界
「記憶の泉というのは不思議な力が宿った小さな泉のことだ。その泉の中に自分以外の誰かの所有物を投げ込むと、投げた人物の頭にその記憶が蘇ってくるとか」
はっとなった。
手に持ったシルクハットと銃を強く握る。
もし俺がそこに行ってこのシルクハットと銃を投げ込めばーーー
真実が見つかるのではないか?
「だがやめたほうがいい。記憶を蘇らせたものはその代償として寿命の半分を吸い取られるらしいからな」
「っ…なんだと?」
身を乗り出し声を上げる。
寿命が半分になるなんて…
あんまりじゃないか!
「これは嘘じゃない、兎。泉には死んだ者の魂が集っていると言われている。その魂は人間の寿命を少しでももらって生き返ろうともがいてるんだ。おそらくお前は鷹目の所有物を使って記憶を蘇らせようとしていると思うがそれだけはやめとけ。お前の命がなくなるだけだ」
「っ…」
俺の命がなくなる。
じゃあーーー
『ーーー兎!!』
ニカの命はどうなる?