相棒の世界
「…鷹目?」
ふとシーナがボソッと呟いた。
「ん?」
「あ、なんでもない…すまん」
俺は首を傾げた。
なんだったんだ、今のは。
まあいい、そう思うと俺はステッキを頼りにその場から離れた。
眠っているミラの様子が気になる。
「…一つだけ注意してくれ、兎」
聞こえてきたシーナの声に耳を立てる。
「記憶を蘇らせると寿命は半分縮むが、泉に落ちてしまえばそれを全て失う。つまり死ぬってことだ」
「…っ!」
泉に住む魂に全て食い尽くされるというわけか。
なんて惨たらしいことだ。
だが、そんなことは承知の上だ。
「…分かった、ありがとうシーナ」
「あんたは鷹目と似てる」
「っ?」
シーナは俺の目の前に立つと、ふっと微笑んだ。
「鷹目と似て、本当にバカだ」