相棒の世界




涙を流したのは久しぶりだった。



鷹目の死以来だろうか。




ミラは俺の頭をずっと摩っていた。



どうして泣いているのか聞いてくることもなく、励ますこともせず、ただずっと摩っていた。



その優しい手が心にも触れ、俺はポロポロと涙を流していた。






「ミラ、愛してる」



「私も愛しています、兎さん」






俺の寿命がもともと長いものだったらいいなと思った。



たとえ半分になったとしても、少しでもいいからミラのそばにいたい。



残された時間をミラと一緒に過ごしたい。




その手をーーー



離したくない。







俺が立ち上がると同時にミラもベッドから起き上がる。



「もう大丈夫なのか?」



「はい」



ふっと微笑みがこぼれると、俺はミラを抱きしめた。



ミラの細い腕が背中に回ってくる。




「信じています、兎さんのこと」



小さくミラが呟いた。




「ああ、信じていてくれ」



俺は目を開けた。







絶対に救ってみせる。




ニカをーーー。






< 366 / 506 >

この作品をシェア

pagetop