相棒の世界
ーーー約束の日の前夜。
身支度を済ませると、俺はガイドンとともにシーナの家を出た。
ガイドンは森の入り口まで俺を送ってくれるそうだ。
タ、タ……
両腰には二つの剣。
ホルスターには鷲が刻まれた銃。
右手には犬の形をした持ち手のステッキ。
そして左手にはーーー鷹目のシルクハット。
「アルバートさん…」
「なんだ」
「どうかご無事で」
「…ああ」
ーーーありがとう、ガイドン。
ガイドンとともに俺は歩き続けた。
そして森の手前に来ると、振り向くことなく一人で入っていった。
右手のステッキを頼りに。
シーナによると記憶の泉は森の中を通っている一本道をまっすぐに進んだその突き当たりにあるそうだ。
ややこしくなくていい。
ただまっすぐに歩けばいい。
「待ってろ、ニカ…」
待ってろ、黒犬。
俺は歩き続けた。
運命に導かれながら。