相棒の世界
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森の奥深く、ニカは大きな太い木に縛り付けられていた。
その前にはーーー
黒い仮面を被った男、黒犬。
ニカの顔を覗き込んでいる。
「どうだ、居心地は」
黒犬が訊くと、ニカは下に向いていた顔をゆっくりと上げた。
「ふっ、最高だな!お前の死が着々と近づいているのだから!」
「っ!」
パシッ!
途端に平手打ちを食らわせる黒犬。
ニカはそっぽを向いたまま、頬を赤く腫れ上がらせていた。
「何が目的だ」
ニカがそのまま口を開くと、黒犬はふっと笑った。
「決まっている」
ーーー俺の全てを奪ったやつたちを
一人残らず殺してやるのさ。
「特に兎。あいつだけはとことん苦しめてやりたい。お前がいなくなった今、絶対に奴は苦しんでいる。その苦しんだ顔のまま、泉に突き落とすのさ。記憶を奪われて、最終的には寿命も魂も奪われて死に追いやられる。ふっ、とんだ苦しそうな表情を味わいたいものだな。
俺は全てを奪われたんだ。これくらいのことはしてもらわないとな」