相棒の世界
「ハァ……」
俺はため息をつくと、ズボンのポケットの中に手を入れた。
ーーー葉巻は、ない。
「ーーーお前が嫌いだとか嫌いじゃないだとか、そういう問題ではない。
ーーー俺がついていったところで、お前を守ることができないと判断したんだ。
鷹目という相棒がいなくなった今、俺には守ってやる力などないとな」
「……っ…どういうことだ?」
俺はしばらく黙り込むと、もう一度口を開いた。
「『鷹』と『兎』、つまりお前の馬鹿な父親と俺は2人で一つだったんだ。
ーーーそれ故、少しでも離れると力を失う」
俺は腰につけた剣を外すと、自分の脇に静かにおいた。
「俺たちには、それぞれ最大の弱点があったんだ」
「最大の…弱点?」
「ああ…」
俺はゆっくりと顔を上げたーーー