相棒の世界
『ーーーはやくーーーはやく』
急かすような魂の声を無視しながらホルスターから銃を取り出す。
そして、鷹目のシルクハットと共に前に差し出した。
「……っ」
俺はその体勢のまましばらく固まると、シルクハットをゆっくり引き下げ地面に置いた。
ーーーこれはどうしても必要だ。
残された者たちに。
意を決して銃を遠くに向かって投げる。
するとーーー
ポチャンッ……
キランッ……
幻想的な音と匂いが舞いーーー
「ーーーはっ!」
俺の頭の中にーーー
ある記憶が流れ込んできた。
若い金髪の母親に抱かれた一人の赤ん坊だ。