相棒の世界
***
ーーーオンギャア!オンギャア!
誰かの手の中、布に包まれた俺は声を上げて泣く。
「…ごめんなさい、許して」
女性は悲しげな顔をすると、ゆっくりと俺を川の近くに置いた。
「さようなら…」
フードマントを羽織って駆けていく女性。
俺は一人、川辺で声を上げて泣き続けていた。
俺は母親に捨てられた。
その事実は俺の心に深く傷跡として刻まれた。
この世はただ残酷なだけ。
無駄に人が多く、それらはみな悪魔のような心を持ち、自分のためならなんでも捨てる。
俺はどうしてこの世に生まれてきた?
この疑問が俺の中から消えることはなかった。