相棒の世界
「あの鷹目の最後の言葉を思い出すだけでも、胸が苦しくなるよ」
ーーー鷹目は死んだ、という事実。
ーーーそして俺が『世界を見れない』という事実。
あの言葉で思い出すのは、どれもこれも悲しみに満ちたことだらけだーーー
「……私の顔も見れないのか?」
「ああ」
「ーーなら鷹目の顔も知らないのかっ?」
「まあな」
俺が物事を判断する基準は、基本聞こえてくる音と匂い。
そして肌に触った感覚と、直感ーーー
生まれながらにして盲目だった俺は、真っ暗な世界で生きていくことにはもう慣れた。
ーーーだが、
多くの敵を前にして、戦うことなどできない。
鷹目という『目』を失った俺はーーー
ただの無力な人間だ。