相棒の世界
「………」
ニカは黙っていた。
おそらくかける言葉が見つからないんだろう。
「ーーーそんなに気を使うな、ニカ。
これでも俺は、鷹目を失ってから6年間1人で生きてきたんだ。
1人で街を歩くこともできれば、靴を作ることもできる。
お前なんかより、ずっとリンゴの選び方は上手いだろう。甘くて『真っ赤』なリンゴを俺はすぐに選べる」
ニカはしばらく黙った後、静かに口を開いた。
「ーーーだか……それが『真っ赤』かどうかは、実際お前にはわからないんだろ?」
「……っ…」
鷹目の言葉が蘇った。
『ーーそれ、めちゃくちゃ甘そうだけど…
『真っ赤』ではないぞっ?兎ちゃんーー』
ーーーそれ、青りんごだぞっ?
「ーーーだったら、私がお前の『目』になる」
「っ!?」
「そのかわり、私を守ってくれないか?
ーーー兎…
私の側にーーーいてくれないか??」
ーーー頼む、兎…
私から離れないでくれーーー