相棒の世界




お腹の子はすくすくと大きくなっていった。



子供はすぐに女の子だと分かった。



鷹の目を持つ俺にとっては、それを知ることは簡単だったのだ。





俺は子供の名を『ニカ』と決めていた。



決して深い意味があるわけではなく、とにかく女の子らしさと呼びやすさを重視して決めた名前だった。



名前が呼びやすければ、たくさんの人に名前を呼ばれる。



つまりーーー



たくさんの人に愛される。




この名前に込められた俺からのメッセージは、『たくさんの人に愛されろ』だ。



我ながらいい名前をつけたと思った。







ーーーニカがもうすぐ産まれるという時、俺は鼠とシーナに自分が死ぬかもしれないということを伝えた。



なるべく深刻な顔をしないように意識した。



だが自然と手は震えてしまっていた。





俺は十分にこの世界の愛を知った。



だが、まだこの世界にとどまっていたい気持ちでいっぱいだった。




それはーーー







世界がーーー



『愛』で満ち溢れたこの世界がーーー


































あまりにも美しすぎたからだ。




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