相棒の世界



***



「鷹目!あれを見ろよ!!」



「…なんだ」



店のガラス窓から見えるのは、『ワールド』という高級ブランドの品々。



大富豪たちがよく出入りをしているこの店のある品に俺は目をつけていた。




「あのステッキ、世界で一つだけしかないらしい」



店の奥の棚上に重宝されるように置かれている一本のステッキ。



犬の形の持ち手を初めて見たとき、俺は運命を感じたんだ。




このステッキはーーー



俺のためにあるって。




「かっこいいなぁ…」



「…どこがだ」



「っ…じゃあ鷹目は何がいいっていうのさ!」



「俺?俺は…」



恥ずかしそうに店の中央あたりに目をやる。



「…あれだ」



「どれだ?」



「っ…だから、あの…シルクハット」



鷹目は店の中央に飾ってある艶のあるシルクハットを指差した。



「…あれも世界で一つだ」



「そうなのか!?」



「ま、まあな…」



鷹目はまっすぐにシルクハットを見たりはしなかった。



きっと恥ずかしかったのだろう。



だが俺は鷹目があの帽子にどれだけ憧れているか、どれだけ見惚れているか、実は知っていた。



鷹目はいつもシルクハットを見ると、エメラルドグリーンの瞳をキラキラと宝石のように輝かせる。



鷹目の隣に常日頃いた俺は、それを知らないわけがなかった。



「…かっこいーじゃねーか!シルクハット」



「…本当か?」



「ああ!」



口角を思いっきりあげて笑う。




ーーーめちゃくちゃかっこいいよ!!




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