相棒の世界
「おい!そんなとこで何覗いてんだ!」
「っ!」
ふと店から出てきた男が眉間にしわを寄せながら怒鳴ってきた。
「お前たちみたいな薄汚いガキたちが覗いていいような店じゃないんだ!さっさとどっかに行け!」
「っ…」
俺は鷹目と目を合わせると互いに唇をギュッと結び、急いで店から離れていった。
「明日もあるかな…」
店からだいぶ離れたところで鷹目が俯きながらボソッと言った。
なんだこいつ…
「ふっ」
つい笑ってしまった。
こいつ、相当あのシルクハットに惚れ込んでんだな。
「鷹目、きっとあるよ!」
ーーーあの2つはきっと…
俺たちのために存在するんだ。
鷹目は顔をあげて俺を見た。
俺と同じように「ふっ」と吹き出す。
「…ああ、そうだな」
俺と鷹目は振り返ってワールドの店を見つめた。
世界に一つしかない品が数々並ぶ高級品店。
俺たちにだってーーー
この店の中に入り、あのステッキとシルクハットを手にする権利はあるはずだ。
俺たちはまっすぐに小屋へと向かった。
この頃の俺たちにとってーーー
あの高級品店のステッキとシルクハットは
ーーー唯一の『希望』だったんだ。