相棒の世界




「ハァ、ハァ…」



全力で橋の下まで逃げてきたため、鷹目は胸を抑えて苦しそうに呼吸していた。



小屋の前でダンゴムシみたいに体を丸くし、肩で息をしている。



俺も能力者であるためあまり体力はない方だったけど、鷹目よりは遥かにあった。





「大丈夫か?鷹目」



「ああ…」



俺たちは傷だらけになった顔を見合わせた。



鷹目は左瞼がこれでもかというくらいに腫れ上がり、鼻からは血が垂れている。




「「ーーーぷっ」」




ーーーぷはははははは!!!





俺たちは転がりながら腹を抱えて笑った。





「鷹目!ははっ!酷いなぁその顔!!」



「黒犬こそ!一本残ってた前歯が無くなってるじゃないか!!」





あはははははは!!!





神様には見捨てられてしまったが、俺たちは笑っていた。



どんなに偉い神様よりも、今は隣にいる『相棒』の方がよっぽど信用できると思ったんだ。




「本当にひでぇなその顔!」



「お前こそ!!」




俺は楽しかった。



鷹目と一緒にいることがとても楽しくて仕方がなかった。





だからこそーーー




絶対に離れたくなかったんだ。





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