相棒の世界
ーーー小屋に帰ってきたのは、次の日の朝だった。
足の骨が両方とも折れていたみたいで、俺は地面を這い蹲りながら小屋まで戻ってきたのだ。
ーーーキィ
小屋のボロ扉をゆっくり開ける。
そこには、まだうずくまっている鷹目の姿があった。
「うっ…グスッ…黒犬どこいんだよ…グスッ」
「っ!!」
鷹目はーーー泣いていた。
俺の名前を呼んで。
ズー、ズー…
両足を引きずりながらも鷹目に近づいてゆく。
そしてーーー
「鷹目」
「っ!?」
「…はい、これ」
「……っ!!!!!」
俺は鷹目の目の前にーーー
手に入れたシルクハットを置いた。
あれから何時間も殴られ続けた結果、俺の手ですっかり汚れがついてしまったシルクハットを見て、大富豪は買う気を失せてしまったのだ。
金を返せと店に怒鳴りつけていた。
ーーー俺は奇跡が起きたと思った。
全員が目を逸らしている間に、俺は体を引きずって逃げた。
絶対にこいつを離すもんか。
絶対に手放してたまるか。
俺は泣きながら逃げた。
這いつくばって逃げ続けた。