相棒の世界
「く、黒犬…これ……」
鷹目は唖然としていた。
目の前の光景が理解できていないようだった。
それもそのはず、全く手が届かなかったシルクハットがここにあるのだから。
「鷹目…」
ギュウ…
俺は朦朧とする意識の中で、鷹目の手をギュッと握った。
「やっぱり…神様は俺たちを見捨ててなかったんだ…」
「…え?」
ギュウ…
握る力をさらに強める。
「…神様はきっと、俺たちがどんなに喧嘩をしても、どんなに離れ離れになっても、絶対に引き離さないんだ…」
ーーーそれが…
俺たちにとっての幸せだから…
神様が俺たちに与えてくれたものは、決してシルクハットやステッキなどではなかったんだ。
それよりも何百倍も何千倍も何万倍も価値のあるーーー
『相棒』だったんだ。