相棒の世界
「神様は俺たちを引き離すくらいなら、シルクハットぐらい簡単にくれてやるってさ…」
俺がニシッと笑うと、鷹目は瞳を潤わせながらシルクハットを手に取った。
「全然…グスッ…簡単じゃねーじゃん…」
俺は折れた自分の足を見つめた。
「ははっ…確かにな…」
「グスッ…うぅ…グスッ…」
鷹目はシルクハットを頭に被った。
「…グスッ…似合ってるか?黒犬…」
口をへの字に曲げ、必死に涙を堪えて俺を見つめている鷹目の顔にシルクハットはひとっつも似合ってなかった。
だけどーーー
「グスッ…ははっ…」
それでもよかったんだ。
「全然…グスッ…似合ってねーよ…」
ーーー鷹目…。
今でもあの記憶は俺の心に痛いほど刻まれている。
鷹目はあれからーーー
死ぬまであのシルクハットを被っていた。
それは心から嬉しかった。
鷹目が俺のことを忘れていないと思えて、ものすごく嬉しかったんだ。
だけど俺はーーー
鷹目が小屋からいなくなってしまってから、神様やそのシルクハットに疑いばかりをかけていたんだ。
これは本当に運命なのか?
鷹目は本当に俺のところに戻ってきてくれるのか?
なぁ、神様…
答えてくれよ。