相棒の世界
普段あまり笑わない鷹目は、その顔をキラキラと輝かせるくらいに笑っていた。
となりにいる銀髪の男も笑っている。
「あ……」
ふと頭の中にある記憶が蘇った。
それはーーー
『バルちゃーん、あーんしてー?』
『あーん!』
俺の目の前で親に愛される、太った義理の弟のバルだった。
『ママァ!おいしいっ!』
『本当にぃ?ママも嬉しいわぁ!』
『バル、こっちも食べないか?パパが作った料理だよ?』
『食べるー!』
親はいつもニコニコしているバルを可愛がった。
対して俺は、血のつながりがないことや変な能力を持つことからかなり差別されたのだ。
「それ、お前の飯だよ」
そう言って差し出されたのは、白い皿に入った、たった3粒の黒くて苦い豆だった。
もはや皿に小さな穴が開いているようにしか見えなかった。
「…はい、母さん」
その豆を食べて何度腹を壊したことか。
あの地獄のような日々を、鷹目と銀髪の男を見たことによって俺は思い出してしまったのだ。