相棒の世界




「っ!」



我に返った俺は視線を兎の背中に変えた。



そして姿を現わすとーーー



バンッ!!



引き金を引いた。






しかしーーー



俺は引き金を引くタイミングが遅すぎた。




「兎、危ない!!!」



引き金を引く少し前に、鷹目に気づかれてしまったのだ。




「うっ…」



「っ!!」




兎を殺すために新調した、他とは比べものにならないほどの威力のある弾。



それは兎の背中ではなくーーー



鷹目の胸を貫通した。






バタン…



鷹目は倒れた。



傷口からはありえないほどの血が吹き出していた。





「……っ!!!!!」



手が震え、足がすくみ、俺は銃を落とした。



そして仮面をとった。



視野が一気に広がる。







「あ……」



その広い視野に映ったものはーーー












俺のことを見つめて微笑んでいる鷹目だった。




「っ!!」



急に涙がこみ上げてきた。



俺は…



俺は……



なんてことをしてしまったんだ!!!





もう少しタイミングが速ければーーー



俺が鷹目の背中を見ていなければーーー



こうはならなかった…!!!








神様ーーー。



あんたはやっぱり…



俺と鷹目を引き離さないようにはしていなかったんだな。



そんなのどうでもいいことだったんだな。



むしろーーー































神なんて存在しなかったんだな。





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