相棒の世界
24. ”一本”の光
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「…黒犬」
俺がそう呟くと、黒犬は馬鹿にしているように「ふっ」と笑った。
「なんだなんだ、盲目のくせに感だけはいいのか?兎」
ああ、そうか。
こいつは今、俺が『見えている』ことに気付いていないんだ。
「まあな、長年培ってきた才能だよ」
「はは、笑える」
黒犬は懐から一丁の銃を取り出すと、くるくると指で回し始めた。
「お前は昔から今までずっと正直でまっすぐないい子ちゃんだったんだな。ゼイルにまんまと洗脳されて人殺しになりやがって、本当に笑えるよ。そして今もお前はちゃーんとここに一人で来ている。どんなに憎き相手でもいうことだけはちゃんと聞くんだな」
「ニカを守るためだ」
「はは、そうだったね」
黒犬は慣れた手つきで回している銃を上に投げると、クルクルと落ちてくるそれを5本の指でキャッチした。
「弾はもうセットしてある。そろそろはじめようか」
ーーーカチャ
「っ!」
黒犬は一瞬スピードで銃を持ち直すと、俺に銃口を向けた。
急いで俺は両腰から二本の剣を出し、それを目の前に構える。