相棒の世界
「あ……あっ…」
黒犬は完全に動揺している状態だった。
口をポカンと開け、一歩ずつ後ろに後ずさりしている。
「…なぜ…それを……」
「お前の『相棒』が大事に持っていたそうだ」
「っ!!!」
慌てた様子で銃を構えると、
ーーーバン!!
黒犬は震える手で引き金を引いた。
「うっ…!」
それは俺の右肩に命中すると、その威力で体を貫いた。
すぐに左手で傷口を抑える。
激しい痛みが身体中にビリビリと伝わっていった。
「っ…っ……」
ーーーだめだ。
俺は剣を使ってはだめだ。
必死に自分に言い聞かせ、俺は鞘から剣を抜かずに体勢を整えた。
出血しているせいか少しばかり目眩がする。
「…そんなはずがない!!!
鷹目がそれを…持っているはずがない!!!」
目を血走らせた黒犬はーーー
バンバン!!
今度は二発の銃弾を俺に向けて発砲した。
「うっ…!!」
それもまた俺の体に命中する。
一つは脇腹を擦り、もう一つは左腿を貫いた。