相棒の世界




グッグッグッグッーーー!!!



「っ!!」



途端に水面についたステッキの先端が、泉の中へと吸い込まれた。



「あっ!!!」



ガシッ!



俺は持ち手を両手でしっかりと握りしめ、ステッキが泉の中へと吸い込まれるのに抵抗する。



「…っ…くっ…!」



吸い込まれる力がどんどん強まる中、俺は歯を食いしばって自分の方へとステッキを引っ張り続けた。





ーーーここは記憶の泉。



一度記憶を見てしまえば、その所有物は確実に泉の餌食になる。



記憶を見た後にそれを泉から出すことはーーー



もう出来ない。





「くぅ…っ!!!」





離すかよ……




離してたまるかよ……




これはーーー





「ーーー俺のなんだよおおお!!!!!」






絶対に離さない。





死んでも、離さない。





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