相棒の世界
『兎ちゃん!』
『はっ!!』
ふとすぐ近くから声が聞こえ、俺は目を開けた。
『ーーーえ?』
思わず唖然とした。
古びた建築物が両脇に立ち並び、砂煙が待っている一本道。
いつか来たことがあったようなこの道のど真ん中に、俺は座っていたのだ。
『あ……』
どう…なってんだ?
『兎ちゃん』
『っ!』
ふと真後ろから声がすると共に、背中に人の温もりを感じた。
こんな呼び方をするのはーーー
あいつしかいない。
『…鷹目?』
そう言って俺が振り向こうとするとーーー
『あ、だめだ!振り向くな!!』
『っ!』
鷹目は途端にそれを止めさせた。
『そのまま前を向いていてくれ、兎ちゃん。今、ちょうど背中合わせで座っているんだよ』
『っ…』
仕方なく俺は前を向き直した。
背中に温もりを感じながら、目の前に広がる景色を見つめる。