相棒の世界
『久しぶりだね、兎ちゃん』
後ろの鷹目は懐かしそうな声で言った。
『ああ、久しぶり』
俺もボソッと返す。
『元気にしてた?』
『っ…元気どころか、お前のせいで酷い目に遭ってたよ』
『ははっ!そうだったそうだった!!』
鷹目の口調は生前と全く変わっていない。
記憶の泉で見たこいつの記憶が、まるで嘘みたいだ。
『ここは天国か?それとも地獄か?』
『うーん、それがどっちでもないんだなっ!』
『どっちでもない?』
『ははっ!実はそうなんだ!』
『じゃあどこなんだ』
『えっとねーここは…』
ーーー兎ちゃんの心の中だよ。
『っ!?』
思いもよらない答えに俺は後ろを振り向きそうになった。
『あ!だからダメだってば!!』
『っ…』
またもや鷹目に注意され、体を前に向ける。
『結構居心地がいい場所だよ、兎ちゃんの心の中は。兎ちゃんがまっすぐで心優しい人間だからか?』
『っ…黙れ』
ったく、こいつは死んでからもお調子者だな。
俺は顎を触りながら俯いた。
本当の鷹目はそうじゃないと、気づいていたから。