相棒の世界




『兎ちゃん、さっそくだけどクイズだ』



『は?』



鷹目はポンポンと両手の中で何かを行ったり来たりさせると、



『はい、振り向いちゃだめだよ』



そう言って俺の右肩の上にその何かを置いた。



『見ないで触って』



『っ…』



言われた通り、俺は顔を少し左に向けながらも左腕を右肩の方へと伸ばした。



そして、肩に触れたものに指先で触る。



『っ!!』



俺は触れた瞬間にこれがなんなのか分かった。



これはーーー



リンゴだ。




『問題です。これは『甘い』真っ赤なリンゴと、『甘くない』真っ赤なリンゴのどっちでしょうか!』



懐かしいやりとりだと思った。



リンゴ選びはよく、鷹目と一緒にやったんだ。



鷹目はいつも甘い真っ赤なリンゴの選び方を教えてくれた。





俺はリンゴの感触に集中するため、目を瞑った。



盲目の方がこういうのに関しては有利だ。





< 484 / 506 >

この作品をシェア

pagetop