相棒の世界
『兎ちゃん、さっそくだけどクイズだ』
『は?』
鷹目はポンポンと両手の中で何かを行ったり来たりさせると、
『はい、振り向いちゃだめだよ』
そう言って俺の右肩の上にその何かを置いた。
『見ないで触って』
『っ…』
言われた通り、俺は顔を少し左に向けながらも左腕を右肩の方へと伸ばした。
そして、肩に触れたものに指先で触る。
『っ!!』
俺は触れた瞬間にこれがなんなのか分かった。
これはーーー
リンゴだ。
『問題です。これは『甘い』真っ赤なリンゴと、『甘くない』真っ赤なリンゴのどっちでしょうか!』
懐かしいやりとりだと思った。
リンゴ選びはよく、鷹目と一緒にやったんだ。
鷹目はいつも甘い真っ赤なリンゴの選び方を教えてくれた。
俺はリンゴの感触に集中するため、目を瞑った。
盲目の方がこういうのに関しては有利だ。