相棒の世界
鷹目は何かを取り消すように体の前で片腕を振ると、またにっこりと微笑んで俺を見つめた。
『じゃあね、兎ちゃん。これでお別れだ。お前は俺の思いをちゃんと世界に届けてくれた。本当にありがとう』
ーーーニカを…
よろしく頼むぞ。
『あっ…鷹…』
俺が声をかけようとした途端、鷹目はクルッと反対方向を向くと、永遠に続く一本道を歩いていってしまった。
『…鷹目……』
待ってくれ…
行かないでくれ……
俺はまだ…お前と……
『兎!!』
『っ!』
ふと、鷹目が俺の方を振り向いて言った。
『ーーーどうだ?
俺【相棒】の世界は!!』
『っ!!』
俺は唇を噛み締め涙を堪えるとーーー
『…ふっ』
笑顔で言った。
『ーーー悪くない』
鷹目は安心した表情になると、右腕を上げ、そしてまた前を向いて歩いていってしまった。
ときとぎーーー
スキップを混ぜながら。
『グスッ…ハァ……』
ーーー鷹目。
お前のことは一生忘れない。
手の中に宿る生命力をーーー
俺はずっと握りしめていた。
ありがとう、鷹目。