相棒の世界
ニカは思う存分笑うと、「ふぅ」と呼吸を整えた。
「ーーーそれで、これからどうするのだ、兎」
ニカはさっきとは打って変わった静かな声で、俺に聞いていた。
「……お前が守れと言ってきたくせに、そんなことも自分で決められないのか?」
「ふっ、どっかの馬鹿に『状況を口に出すだけでいい』と言われたもんでね。
仕方なく言う通りにしているのだ」
「………っ…」
俺は考えた。
これからどうすれば『仮面の男』から逃げることができる…?
やはりーーー
「町を出るしか…ないな」
「………」
限りなく狭いこの町で逃げ切ることは、まず不可能。
かと言って、俺が昔『殺し屋』として活動していた隣町に行くことも危険だろうーーー
『仮面の男』はニカを利用して、俺の場所を突き止めた。
つまり、やつらは俺が『兎』という殺し屋であったことも知っているはずだ。
故に隣町はきっと目が付けられている。
そんなところに向かえば、余計に捕まる可能性が高くなるだけだ。
ーーーどうすればいい……