相棒の世界
ふと、ニカがやけに静かだと思って俺はそちらに顔を向けた。
「あ……」
するとそこにはーーー
ポカンと口を開けて、ハカゼの隣に立つシーナのことを見つめているニカがいた。
ニカの目に映るシーナは、目に涙をいっぱい浮かべている。
スタ、スタ…
ニカは急に歩き出した。
シーナから一つも目をそらすことなく、一歩一歩彼女に近づいていった。
そして目の前でピタッと止まるとーーー
ニカはポカンとした表情で言った。
「ーーー母さん?」
「っ!!」
シーナは目を大きく見開くと、
「…グスッ…うぅ……」
途端に目に溜まった涙を流し始め、目の前のニカをギュッと抱きしめた。
「あっ!」
ビックリするニカ。
「許してくれ……グスッ…ニカ…!!もうお前をーーー絶対に離したりしない…!!」
シーナはニカの体を強く強く抱きしめながら、声をあげて泣いていた。
ニカはそんなシーナのことをーーー
ギュッ…
穏やかな表情で抱きしめ返した。
「ああ、絶対離さないでくれ……母さん…」
抱きしめ合う二人の姿を見て、俺は安堵のため息をついた。
全然平気だったじゃないか、ニカ。
言っただろう?
母親はそういうものだって。