相棒の世界




スタ、スタ…



ふとハカゼが穏やかな表情を浮かべながら、俺の元に歩いてきた。



本当に彼女はガタイのいい老婆だ。



だけどその顔はーーー



どこまでも優しさに包まれている。




ピタッ



ハカゼが俺の前で足を止めると、それに気づいたガイドンとミラは俺からそっと離れた。



「ふっ」



ハカゼはまたさらに一歩前に足を出すと、俺に手を差し出してきた。



ギュッ…



その手をしっかりと握り返す。




「鷹目のものはぜーんぶ泉に投げちまったのかい?」



ニヤリと口角を上げるハカゼ。



きっと全て分かっているのだろう。




「一つは違う場所に置いてきた。あまりにも世界が美しく見えたもんでね」



「はっはっはっ!」とハカゼは大口を開けて笑った。




「本当にいい眺めのところだねぇ」





ーーー鷹目もきっと喜ぶよ。





< 498 / 506 >

この作品をシェア

pagetop