相棒の世界
- 旅立ち -
ーーー荷物は全部まとめ終わった。
ハカゼのばばあが薬を持ってけって言うけど、あの匂いは好きじゃないからこっそりと置いていくことにする。
「おや、どうしたんだい?」
ビクッ!
薬を戸棚に戻そうとした時、ふと後ろから聞きたくない声が聞こえてきた。
恐る恐る後ろを振り向く。
「ハ、ハカゼ…」
ハカゼは全てお見通しだ、といった顔で俺をニヤニヤと見つめてきた。
「いらないのなら持たなくていいさ。実は私もこの匂いはあんまり好きじゃあなくてねぇ」
「え?」
ハカゼは俺の手からそっと薬を奪うと、またニヤリと笑った。
「これはニカに持たせるよ」
「っ…」
やっぱ持たせるんじゃねーか。