相棒の世界
父さんは腰からあるものを外すと、俺の手の上に置いた。
「あ……」
それはーーー
一本の短剣。
「…父さんの剣じゃないのかよ」
「ふっ、それはまだお前には早すぎる」
ガシガシッ
父さんの大きな手に頭を撫でられ、俺は首を縮ませた。
「いいかハーツ」
「っ?」
父さんは手を止めると、その手を俺の肩に置いて言った。
「世界を見てこい」
「っ?」
世界をーーー見る?
俺は首を傾げた。
「世界を見て知るべきことを知るんだ。それができたら俺の剣はお前にくれてやるさ」
父さんはそう言うと、にっこりと微笑んだ。
「気をつけて行ってくるのよ、ハーツ」
母さんも来ると、優しい顔で俺に笑いかけた。
「………」
世界を見る、か。
まったく意味が分からない。