相棒の世界
「ほら、行くぞハーツ」
既に歩いているニカ姉さんに呼ばれ、俺は父さんと母さんの顔を再度見つめると、すぐさまそれについていった。
「お調子乗りな口であんまりいじめるんじゃないぞ、ニカ」
背後から聞こえる父さんの声。
「お前が言うな、兎」
ニカ姉さんは父さんの目を見ないで吐き捨てるように言った。
2人はいつもこんな感じだけどーーー
俺は知っている。
父さんもニカ姉さんも、
必ず言い合った後にーーー
口元がニヤついてるって。
「待ってよニカ姉さん!」
「私は待たない、お前がついてこい」
「っ…」
やっぱりニカ姉さんは嫌いだ。
だけどーーー
その背中は悔しいぐらいにかっこいいんだ。
「っ…わかった」
ーーーついていく。
「世界を見る」って
どういう意味なんだろう?
きっと父さんはそれを知っているから、
世界中で称えられるほどの
最強の殺し屋なのかもしれない。
俺も知りたい、世界を。
父さんみたいな殺し屋になるために。
【 END 】